読書録(2017年上期、覚えている分)
読書録など
フランクル「夜と霧(新訳版)」
想像でしかないけれど、筆者は魅力的な人物だったのだろうと思う。
ユーモアと知性、倫理観と冷静さ。
家族への想い、望郷の念、自然と宗教的祈り、研究への執着。
ただし、20世紀的な理想主義的倫理観といわれればたしかに。
ワイリ、ゲニス「亡命ロシア料理」
アメリカに亡命(移住)した、ユダヤ系ロシア人2人組みによる、料理をネタにした全方位への批評。
アメリカで故郷の料理を作るためのレシピもあるけど、おおざっぱで参考にならねぇ。
各章のタイトルだけで笑えるのでコスパがよい?
「イギリスは紅茶で帝国を築き、ティーパックの発明で帝国は崩壊した」
「出版社はこれ以上の筆者の住所を伏せている。おそらく怒り狂った諸国民の復讐を恐れてのことだろう。」
全般的に皮肉な笑い。ただ、この筆者はリガ出身なのでそれはラトビア人なのではという・・・そして現在のラトビアでは反ロシア感情からロシア系住民に諸市民権が認められていないというつらさ。
カルヴィーノ「見えない都市」
マルコ・ポーロとフビライの対話を枠にした、モンゴル帝国に点在する都市についての短編集。
語られる都市の話も幻想だが明らかに違う時代が混じり、ときどき語り手枠も幻想かもという示唆がある。
沈黙の都市ヴェネツィアの言及が印象に残る。
レジスタンス経験をもとにした短編が面白い。
カルヴィーノ「宿命の交わる城」
タロットカードの並びで物語を生成できるかという試み。
途中でちょっと読むのがつらくなる。
ダンセイニ「世界の果ての物語」
高校に読んで以来の再読。ほら話とファンタジーの隙間というか。
劇場
ジークフリート死すべし、慈悲はない。
大道具・衣装はフィンランド国立歌劇場。三角形と円、遠近法と幕の強調が多く、現代美術チック。
ワーグナーは耳に残る。
展覧会
絹谷幸二は強烈だった。
イベント
初めて参加。一度行くだけでファンになる、本当に面白いのでみんな行くべし。
我々は皆、どこかの星のかけらからできているという講演が非常に印象に残る。